声に出さないけど思っていること

6月30日に考える「因数分解」のこと

本日6月30日、私にとっては上半期最終日である。
かみはんき【上半期】
一年を二期に分けた場合の前半の六か月。上期。

 

学生時代、私の上半期は4-9月だった。
会社員になり、会社の会計年度が12月なので私の上半期は1-6月になった。
 
今日はその6月30日が持つイメージについて書いてみる。
この記事に登場する日付
2月10日
4月20日
5月10日
6月30日
 
さて
本題に入る前に少し寄り道をしたい。
もしかしたら私はこの話をしたかっただけかもしれない。
 
大学4年で就活をしていた時のこと。
とある会社の面接にて、当時やっていた学習塾のアルバイトに対してこういう問いかけをいただいた。
 
「そのアルバイトをして、あなたが先ほどおっしゃった“生徒さんと喜びを分かち合う瞬間”というのは具体的にどのようなものですか」 

 

それほど掘り下げてもらえると思っていなかった私は、一瞬ためらい、
「少し長くなるかもしれませんが」と前置きの上答えた。
 
数学を教えている時のことです。
相手は高校一年生で、教えていたのは「因数分解」の章でした。
ちょうど「展開」を学習し終えたばかりだった彼は、ふいにペンを置き私に問います。
『ねえ、この間せっかく式を「展開」してカッコから救出したのに、どうしてまたカッコで閉じこめちゃうの』
私は驚いて彼を見つめ、同じくペンを置いて考え始めました。
その時の私の説明はこうでした。
 
-----
 
たとえば、10という数字を考えよう。
足し算だと、
「5+5」とも、
「1+2+3+4」とも、
「1+1+1+1+1+1+1+1+1+1」とも書ける。
負の数もあるから、書き方は無限にあるよね。
でも、掛け算だと、
「2×5」
「(-2)×(-5)」
これだけ。2通りだけで表せる。
だからきっと、数の世界を理解しようとするとき、足し算じゃなくて掛け算で考えることが、数が与えてくれた通り道なんじゃないかな。
この間まで一緒にやった「展開」は、なんだかよく分からないものを足し算の形に直して、要素を見つけてあげる作業。
でも、中身がわかったら、数が一番美しく見える形、掛け算の形に戻してあげる。
その時の方法が「因数分解ということ、だと思う。
 
-----
 
手を顎に当てたりこちらを覗き見たりしながら私の長い話を聞いていてくれた彼は、私が話し終わるなり、
「ああ、なるほど、まだ感覚だけど、そうなんだ。掛け算ってきれいなんだ。うん、なんかわかったかも。」
と言って明るい表情になりました。
そのときほど生徒と心を通わせた実感を持てたことはありません。
この体験が、物事を深く考えることと、それを伝わるまで伝えるのとの良さを、私に教えてくれました。

 

私の「癖」
いつからか、街中で数字を見つけると「素因数分解をするのが私の癖になった。
それは、どんな数でも割り切れない「素数に美しさを感じるからであり、
何かで割り切れる数を見つけるとその数たち同士が家族であるような親密さを感じるからでもある。
 
先のアルバイトの体験が、
・何か複雑に見えるものをカッコの檻から出してあげて、シンプルになったひとつひとつをよく見る
・そうして中身がわかったら、カッコの部屋に戻してあげる
そういうことを私に根付かせたのだと思う。
 
ナンバープレートと素因数分解
ここからが上半期最終日に考えた話である。
街中で、ナンバープレートが「210」の車を見つけたとする。
私の頭の中で以下のような式が浮かぶ。
210 = 2×3×5×7
 
何気ない数字が、最初の4つの素数の掛け算で表せることに気付く。
数字を日付に変換するのがすきな私は、したがって2月10日が特別な日付に思えてくる。伯父の誕生日である。
 
つぎに、この210を2倍にしてみる。
420 = 210×2 
 
4月20日素数との親密さを帯びてくる。友人の誕生日である。
 
つぎに、210を3倍にしてみる。
630 = 210×3
 
6月30日も素数との親密さを帯びてくる。上半期最終日、本日である。 
 
210と、420、そこから連想される2月10日、4月20日を節目として、
6月30日が上半期を美しい素数の積のチェーンで結びあげてくれることになった。
 
私にとって6月30日は、そういう日である。
 
発展させる
先ほど、1つ目から4つ目までの素数を掛け算した。
もっと掛けてみるとどうなるだろうという好奇心に駆られる。
 
2×3×5×7 = 210
2×3×5×7×11 = 2,310
2×3×5×7×11×13 = 30,030
2×3×5×7×11×13×17 = 510,510(※)
2×3×5×7×11×13×17×19 = 9,699,690
 
4行目の(※)で示した数字も、例によって5月10日と関連付けてしまう。
けれども先の3つの日付とは違い、もっと大きな強さやエネルギーを感じる。
なんせ510ではなく51万510である。
 
まとめ
・ある数や式の中身や要素を理解したい時は足し算の、その数や式を書き表す時は掛け算の形で書き表す。
・同様に、何か複雑に思えることを理解したい時は要素を分解して足しあわせ、それがわかったら共通部分をまとめて掛けあわせ、元の形に戻してあげる。
・2月10日、4月20日6月30日は4つの素数の掛け算で結ばれた節目の数。本日、その最終日。
 
 
想定外の梅雨明け宣言。
7月は夏休みをいただいてドイツへゆく。
帰ってきたら、その経験もストックしたいと思う。