声に出さないけど思っていること

2月20日の「友愛数の日」に考えたこと

前回の更新から、季節が変わり、年が変わり、大雪が降り、日が延びた。

今日は、私が数字好きを自認できるきっかけとなった数、「友愛数」について書いてみようと思う。
毎度のことながら語調や文体を忘れている。
 

出会いは本

多くの人が読んだこと、もしくは聞いたことがあるであろう「博士の愛した数式」を私が読んだのは初版刊行から10年ほど経った大学2年(2013年)のこと。
良いと聞いていたものの天邪鬼精神が発動し、「自分がなんとなく好きを感じている数字が、この本を読むことによって覆されたらやだな」とやんわり思っていた。
けれども、そんなことはなかった。
博士と、家政婦と、その息子を通して、数の壮大な世界が日々の生活の中にすとんと腰をおろす、読みやすく優しい物語だった。
 
その中で、家政婦の生年月日と博士の腕時計の文字盤裏の番号が友愛数の関係にある。
 

友愛数との対面

数の世界の多くは、1つの数字をさして「○○数」と名付けられているが、
友愛数は特別な関係を持った“2つの”数字をあわせてこう呼ぶ。
 
その関係を話す前に、一番小さな友愛数を挙げる。

220 と 284

「一番小さくて3桁?」と思うかもしれない。私は思った。
この2つの数にどんな関係があるというのだろう。
 

友愛数とは

友愛数の約束ごとは、片方の数の約数の合計が、もう片方の数とぴったり一致するというもの。
実際に約数を書き出し、足してみる。

220の約数:1, 2, 4, 5, 10, 11, 20, 22, 44, 55, 110, 220
220以外を全て足すと、1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110 =「284」
 
284の約数:1,2 ,4, 71, 142, 284
284以外を全て足すと、1+2+4+71+142 =「220」

つまり、
220の約数の和が「284」、
284の約数の和が「220」と、
お互いがお互いに密接にかかわっているということなのだ。
 
おそらく、すこしわかりにくいかもしれない。
けれど、そのこと自体が友愛という名前にあっているように感じる。
 
自らと何かを関連付けるとき、その共通部分を探してほっと嬉しくなるような経験は誰しも密かに持っていることと思う。
秩序ある数字の世界にも、特別な性質があって(そう人間が思いたいだけで数はただそこにあるだけだが)、なんだかたいへん嬉しかった。
 

博士の言葉

前述の著作に登場する博士は、「友愛数」のことをこのように表現している。

見てご覧、この素晴らしいひと続きの数字の連なりを。220の約数の和は284。284の約数の和は220。友愛数だ。滅多に存在しない組合せだよ。フェルマーだってデカルトだって、一組ずつしか見つけられなかった。
 
神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字なんだ。美しいと思わないかい?君の誕生日と、僕の手首に刻まれた数字が、これほど見事なチェーンでつながりあっているなんて。

博士の愛した数式小川洋子著 |新潮文庫|32頁

 

友愛数」と関わりの深い数

数の性質を話すにあたり「約数」と「約数の和」が出てくるのはやや複雑なイメージがある。
けれど、この方法で名前がつけられた数は他にもあり、そのひとつが「完全数」である。
こちらは、約数の和が自分自身とぴったり同じになるという性質だ。
 
以前こちらに記事を書いたので、お時間のゆるす方はぜひ。

6月28日は「完全数の日」
そして今年の「完全数の日」が終わる

書いてからもうすぐ1年になるのだな。

 

実のところ

2月20日は私の父親の誕生日なのである。
今年は父母と3人でイタリアンを食べに行った。
 
いつか、2月20日(220)の日に、「284」に関わるものをプレゼントしたいと思いつつも、なかなかひらめかない。思ってから5年も経ってしまっている。
・284円のもの?(珈琲1杯もごちそうできないのでは)
・ロウソク284本?(ケーキ燃えちゃう)
・製造番号が284の時計?(父は母がプレゼントした時計を長年使っている。愛にはかてない)
 
もしも2月84日があったら、私は勝手に運命を感じてしまっていただろう。
2月1日を1日目として計算したら、4月25日が84日目にあたるようだった。
 
けれど、サプライズで登場したデザートプレート(苺のシャーベット、ガトーショコラ、あずきのチーズケーキ)とHappy birthdayが流れ続けるオルゴールに、想像以上にはしゃいでいたからよかった。
 
話を戻そう。
 

友愛数の日」に考えたこと

毎年そうだが、この日は何かペアのものが特別に思える。
すれ違うカップルや親子だけではない。
 
朝、歯ブラシと歯磨き粉。眼鏡ケースと眼鏡。赤信号と交差点に溜まる人。
昼、食後のコーヒーカップとソーサー。公園とベンチ。
夜、銀座の蔦谷書店とスタバラテ。ドラムスティックとスネア。
 
好きなものを線で結ぶ感覚は、とても心地よい。
すでに線で結ばれているものを発見する感覚も。
それが少々強引であっても、自分を幸せにしてしまおう。
 

まとめ

・2月20日は「友愛数」の日
友愛数は、特別な関係にある異なる“2つの”数字の組み合わせを指す
友愛数の日は、好きなものや人を結びつけて心優しく過ごす日
 
2018年2月20日(火)は、好きなカフェでランチをし、夜にスタジオでドラムを叩き、
関連するものの組み合わせを考える機会が多かった。
 
ひとの好きなものの話を聞くのがすきなので、点を線でつなげていく癖はこれからも大事にしたい。