声に出さないけど思っていること

ステンドグラス探求|01

パリにて

今年の5月、7日間のヨーロッパ旅行のうち3日をパリで過ごした。

目的はオランジュリー美術館だったが、それは初日に無事達成。

翌日、何気なく足を運んだノートルダム寺院(Cathédrale Notre-Dame de Paris)のステンドグラスを見た時、私の五感と全神経が音を立ててこれを「美しい」と感動したがっていた。

 

「日本に帰ったら、ノートルダム寺院の30枚以上のステンドグラスを模写しながら、その美しさを考察する」と決断した。

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最初の衝撃

きっかけは、ノートルダム寺院の北側の道路を通った時。大きな窓が連なっていて、とんがり帽子の先端の円の中に花型模様が描かれていた。

初めは、アスタリスク(*)のような6枚花弁の形の花に目がいく。しばらくして、別の形の花弁があることに気付いた。さらに、一番奥には花弁すらない。

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わかりにくい気がするので、説明画像を作ってみた。

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「6」や「4」だけでなく、「7」を基にした形があることにも驚きを隠せない。「7」は左右対称(線対称)ではあるけれど、ぐるりと半周回転させたときに重なる「点対称」の性質はないからだ。

点対称を重んじる(と勝手に思っていた)建物の装飾に、突如「7」の登場。

ジャズ音楽を気持ちよく聴いているところに、フラメンコの情熱と汗が飛び跳ねてきたような衝撃だった。

 

ともかく、私はこの中に入らなくてはいけない、と思った。

 

次の衝撃

実は、中に入るまで、先述の窓の内側にステンドグラスが施されているとは考えもしなかった。まして、こんなに壮大な(そして有名な)ステンドグラスがあることも当然知らなかった。

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大きな円の両隅に、ふたつの花形模様がある。が、よく見るとそれらは内側に少しだけ傾いている。

 

「ありえない」と正直思った。「シンメトリーが好きなんじゃないのか!」とひとり勝手に憤慨した。周りの人の視線をたくさん感じたので、多分憤慨中の声も漏れてしまっていたと思う。

 

さて

時間をかけてノートルダム寺院の中を一周したのち、「冷静になろう」と努めた。

出口手前のスペースで、撮りためたステンドグラスの写真を眺める。

ざっくり分けて、2種類のステンドグラスがあった。

図形などの幾何学模様(左)と、人物・植物などの具象物を描いたもの(右)。

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見れば見るほど、幾何学模様のほうに心が惹かれていった。

もともと図形が好きなせいもあるが、モチーフそのものに意味がある具象物よりも、形の精微さに美しさを見出そうとすることに興味を持った。

 

そういう訳で、幾何学模様のステンドグラスの模写を始めることにする。

この投稿はその奮闘記である。

 

ステンドグラス探求|02 に続く。